杉山茂樹のBLOGマガジン

Profile
[プロフィール]
  • 静岡県出身。東京都在住。AB型
  • スポーツライター
  • 得意分野はサッカーでヨーロッパが厚め
  • W杯は82年のスペイン大会以降、12大会連続現地取材
  • 五輪も夏冬併せ9度取材
  • テーマは「サッカーらしさ」「サッカーっぽさ」の追求
  • 愛称はスギッチ。サッカー番長。スタジアム評論家
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    【ワールドカップ】日本代表とスペインとの差は大きく広がった 進化したパスワークでフランスを圧倒した「中盤力」

     フランス対スペインの準決勝は、多くのブックメーカーのオッズで優勝候補の1番人気対2番人気の対戦となった。

     力の接近した2チームの対戦で、どちらが前評判で上回っているかは、試合の行方を占ううえで重要な要素になる。選手、監督の耳にも入るので、上回っている側は受け身になりやすい。挑戦者の立場に身を置いていたほうが楽なのだ。

     大会前の両者の関係は逆だった。スペインが1番人気でフランスが2番人気だった。両チームは一昨年のユーロの準決勝、昨年のネーションズリーグの準決勝で対戦していて、スペインが2−1、5−4と2連勝を収めていた。スペインが大会前の下馬評でフランスを上回った理由だ。

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    【ワールドカップ】フランスに復活した「4銃士」の破壊力 急成長モロッコを粉砕

     満員に埋まったボストン・スタジアムのスタンドを眺めると、多数を占めているのはモロッコ側であるかのように見えた。気温30度。直射日光が容赦なく照りつける屋根のないスタンドに、その赤の集団はよく映えた。

     フランス対モロッコ。前回カタール大会の準決勝と同一のカードである。4年前は2−0。ひと言でいえばフランスの順当勝ちということになるが、モロッコがアフリカ勢として初めてベスト4に残り、準決勝を戦った記念すべき試合でもあった。

     今回の舞台は準々決勝である。モロッコは今や、日本人ライターがダークホースとして挙げるにはいささか失礼な強国に、すっかり立ち位置を上げた。
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    ワールドカップ】サッカー日本代表につける「薬」が見えてくる フランス、スペインの強みとは?

    連載第99回

    杉山茂樹の「看過できない」

     フランス、モロッコ、ノルウェー、イングランド、スペイン、ベルギー、アルゼンチン、スイスと、ベスト8が出そろったワールドカップ。内訳は欧州6、南米1、アフリカ1。16強は欧州7、南米4、北中米3、アフリカ2だった。鮮明になるのは欧州の優位性だ。一方、アジアは9カ国が出場しながら、グループリーグを突破したのは日本とオーストラリアのわずか2チーム。世界から低レベルを揶揄されても致し方のない状況だ。

     勝てない原因をあえてひと言で言うなら強度不足だ。技術的な問題もさることながら、局所での競り合いの弱さが目についた。出るところに出ると貧弱に見える。そうしたアジア勢ならではの弱みを、日本は俊敏さと生真面目さで補おうとした。実際、オランダ、スウェーデン、ブラジルに対して一定の効果を発揮した。中村敬斗、堂安律、前田大然、伊東純也、佐野海舟らに代表される、巧緻性あふれるすばしっこい動きに、大柄な相手が幻惑されたことが接戦になった要因だと見る。
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    【有料記事】「本当のW杯は日本が敗退した後に始まる」は言い得て妙。だがそれを見届けずに次々と帰国した日本人関係者

     日本は2022年W杯まで7度本大会に出場。4度決勝トーナメントに出場しているものの、16強を意味するその1回戦で毎度、姿を消していた。8度目の本大会出場となった今大会しかり。本大会出場国が48に増えたので、日本が敗れた決勝トーナメント1回戦は、これまでより一段早い32強を意味する。

     大会が佳境に入るかなり手前の段階で日本は舞台から消えたことになる。

     本当のW杯は日本が敗れた後に始まるーーとは、これまでW杯の凄さを語ろうとしたとき、若干皮肉を籠めて言われた台詞だが、今大会の現在も、この言い回しが言い得て妙と言いたくなる状況にある。

     世界のトップが世界一の座を懸けてしのぎを削るそのほとんどの試合が好勝負だ。滅茶苦茶面白いのである。本日行われた、アルゼンチン対エジプト戦しかり。アメリカ大陸は広いので、試合のすべてを生観戦できるわけではないが、筆者は現地でW杯の素晴らしさを堪能する毎日を送っている。人生の幸せを覚えずにはいられない。

     しかし当初、溢れかえるほどいた日本の報道陣はもはや数えるほどだ。大半はブラジルに敗れると、日本代表と歩調を合わせるように順次、帰国していった。彼らのW杯取材は日本代表戦取材とほぼ一致する。他国同士の戦いに関心が薄い人たちと言っても過言ではない。日本代表だけを眺めても日本代表の実像は分からない。良薬は見つからない、とは思わないのだろうか。

     いまに始まった現象ではない。日韓共催だった2002年大会以外、ほとんどがこの調子だ。大会が佳境に入ると日本人の取材者はグッと減る。サッカー好きとっては信じられない光景が取材現場に広がることになる。

     筆者が初めてW杯取材に出かけたのは1982年スペイン大会なので、1986年メキシコ大会、1990年イタリア大会、1994年アメリカ大会までの4大会は、日本不在のW杯だった。日本がいずれ本大会出場の常連国になることも、当初は想像できなかった。日本代表が筆者の後からついてきたーー。偉そうな言い方かもしれないが、正直を言えばそんな感じである。
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    【ワールドカップ】サッカー日本代表の今後はどうあるべきか チームづくりに必要な発想の転換

    森保ジャパンの実像(後編)

    「ワールドカップ優勝」を目標に掲げた森保ジャパンの旅は、そのかなり手前で終わることになった。「史上最強」とも言われた日本代表にとって、いま何が課題になっているのか。そしてこれからの4年間はどうすべきなのか。ワールドカップの取材を続けている杉山茂樹氏、浅田真樹氏のふたりが語り合う――。

    浅田 話は変わりますが、最近、Jリーグなども「ライト層にアピールしなければいけない」ということで、民放の地上波でもサッカー番組が始まったりしています。結局はタレントが出演するバラエティっぽい番組になって、それはそれで悪いとは言わないけど、そういう意味では、サッカーに興味はあるけど、日本がいまどのくらいの実力で、世界ではどのくらいのところにいるのか、わからないという人たちも増えていると思うんです。そこへ向けて代表監督が「目標は優勝」と言えば、「優勝するかもしれない」と思って観るわけじゃないですか。それが「こんなフルボッコで負けちゃうの?」となれば、人気面でもマイナスになりかねない。それも含めて、余計なことを言っていたのではないかと思うんです。
     選手たちも「優勝」と言っていたじゃないですか。チャンピオンズリーグに出る選手も増えて、彼らはレアル・マドリードやバルセロナ、マンチェスター・シティ、リバプールといったところはまたちょっとレベルが違うということを肌で感じている人たちのはずです。そこから「優勝を狙っている」という話が当たり前に出てきてしまう。「何を言っているんですか。トップの選手たちはこんなものじゃないですよ」という話になってもいいと思うんだけど、選手も「優勝」になってしまった。
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    【ワールドカップ】サッカー日本代表はあの「負け方」でよかったのか ブラジル戦までの4年間を検証

    森保ジャパンの実像(中編)

     ブラジルに先制しながら逆転負けを喫し、ラウンド32で姿を消すことになった日本代表。だがそのブラジル戦は、それまでの4年間の「結果」でもあった。現地で取材を続ける杉山茂樹、浅田真樹の両氏が、決勝トーナメント1回戦敗退までのプロセスを語り合う――。

    浅田 ブラジル戦の試合後、選手たちは「ここまで攻められたことはなかった」と言っていました。3月のイングランド戦でもずっとボールを持たれるなど、優勝候補のチームとやった場合、ある程度ボールを持たれる展開になるのは、みんな想像できていたと思うので、「それにしてもここまで何もできないのか」ということだと思います。とにかく後退して必死に守ってクリアしかないとあっては、どこかでやられるのは当然でしょう。「マイアミの奇跡」みたいなことはそんなに都合よく起きない。
     あえて言えば、先制するのが早すぎたかもしれません。ブラジルの攻撃ももたついていて、スタンドでブーイングが起き始めていた時間だったんです。あのままずっと0−0でいって、佐野海舟のゴールが70分か80分に決まっていたら、もしかしたら違う結果になっていたかもしれません。早い時間にブラジルに本気になられて、成すすべもなく力負けしました。
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    【ワールドカップ】サッカー日本代表の戦いをどう評価すべきか 異変はスウェーデン戦で起きていた

    森保ジャパンの実像(前編)

     1勝2分けでグループステージを2位で突破し、ラウンド32でブラジルに敗れた北中米ワールドカップの日本代表をとう評価すべきか。現地で取材を続ける杉山茂樹氏と浅田真樹氏が、あらためてその戦いを振り返る――。

    浅田 今回のワールドカップの日本代表への評価は、何を基準に評価するかによって話が違ってくると思います。目標は本当に優勝だったのか、それともこれまで成し遂げていないベスト8だったのか。もし目標が優勝なら、ラウンド32での敗退はまさに惨敗でしょう。ベスト8なら、失敗したけれど、ある意味では順当な結果で、可もなく不可もなくといったものになるでしょう。

    杉山 本当の目標が明らかになっていなかったのは大きな問題です。森保一監督が最初は「目標はベスト8」と言っていたのが、いつのまにか「優勝」になっていった。去年、グループステージの組み合わせが決まると、たぶんベスト8は難しいとわかったのではないかと思います。ラウンド32でブラジルやフランスと当たる可能性が高くて、そうなったらベスト16も難しい。それで「優勝」としか言うことがなくなってしまったのではないかと僕は思います。そのことに周囲は気づいてもっと突っ込むべきだったし、いまその評価があやふやになっている原因は我々にもある。
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    【ワールドカップ】サッカー日本代表が観客に残した印象は? 果敢に敗退したスウェーデンを見て思う

    連載第98回
    
杉山茂樹の「看過できない」

     日本がブラジルに敗れた翌日、ニュージャージーのスタジアムでは、フランス対スウェーデン戦が行なわれた。グループIの1位対グループFの3位で争われる32強対決である。グループFで日本がスウェーデンに敗れていたら、フランスに立ち向かうことになったのは日本だった。

     グループFで3位になれば約83.6%の確率でグループIの1位と対戦することになるという事実を、大会前、詳らかにしようとするメディアは少なかった。2位になれば相手がほぼブラジルになることさえ、積極的には明らかにしなかった。今回、組分けに恵まれなかったという事実を、皆で必死になって伏せようとしているように見えた。
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    【有料記事】世の中は森保サッカーに意見できない人で溢れてる。日本人はあんな守りっぱなしのサッカーが好きなのか

     ブラジルに逆転負け。森保監督率いる日本代表は32強でワールドカップの舞台から姿を消した。試合数4での終了は2002年、2010年、2018年、2022年に続く5回目だ。今回も日本は決勝トーナメントで1度も勝ったことがない国から脱することができなかった。決勝トーナメントはこれまで16強による争いだったが、今回は32強の争いだ。相手はブラジル。組分けに恵まれなかったとは言え、歴代最強の触れ込みで、優勝を目標に掲げながら、まるでジャンプアップできなかった。

     32強はレベルをひとつ下げた数字になる。サッカーの中身が急成長していたのなら運のなさを嘆きたくなるが、ブラジル戦は逆転負けとはいえ、順当負けだった。先制したのはいいが、その後は自ら引き、最後は守りっぱなしの展開になった。こうした守備的なサッカーをすると、結果が出なかったとき必要以上に情けなくも弱々しく映る。なにより悔いが残る。本当の実力差も分からない。

     結果が欲しくて仕方がないサッカー。森保サッカーを言い換えれば、そうなるが、それで結果が出なかったときは何も残らない。理屈的にはそういう話である。前回はその方法論で、スペイン、ドイツを倒し一応、結果を残した。それで続投を勝ち取り、今大会に臨んだ。しかし今回は残せなかった。そうした8年間だった。

     サッカーの考え方は人それぞれ。この世界には自分と異なる考えの人がいる。サッカーの歴史を辿ったとき、完璧に割れるのが、守備的サッカーと攻撃的サッカーだ。

     両者が最もバチバチの関係にあったのが90年代後半で、その天王山と言うべき天下分け目の一戦が1997-98シーズンのチャンピオンズリーグ決勝ユベントス対レアル・マドリードだった。そこで後者が勝利したことで、混沌としていた世の中は、攻撃的サッカーに大きく靡くことになった。論争にも決着がつく格好となった。

     その流れはいななお健在だ。5バックになりやすい3バックのシェア率が全体の3割に届くか否かという数字に、それは端的に現れている。世界のサッカーにそこそこ詳しい人なら、この現実を知らない人はいないはずだ。歴史的な背景までは知らなくても、森保サッカーが世界的に見れば少数派であることに気付ことは難しくない。
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    【ワールドカップ】サッカー日本代表は自らチャンスを作れない 守備的姿勢が生んだブラジル戦の結末

     後半のアディショナルタイム、しかも残り1分を切った段階で浴びた逆転弾。日本が先制した試合展開を考えると、ともすればこのうえなく惜しい試合に映る。だが、冷静に試合を振り返れば、けっして"惜敗度"の高い試合ではなかった。逆転弾を食らうのは時間の問題だった。ガブリエウ・マルティネッリの右足シュートが、ポスト内側を叩きながらネットを揺らす光景は、ある意味で十分に予想された出来事だった。訪れるべき時が訪れた場面だった。
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    サッカー日本代表の悔やまれるスウェーデン戦の終わり方 ブラジル戦に向けての「弾み」がない

     1位オランダ、2位日本、3位スウェーデン、4位チュニジア。チュニジアが弱すぎた点を除けば、グループFは下馬評どおりの結果に終わった。32強(決勝トーナメント1回戦)の戦いもしかり。グループC(1位ブラジル、2位モロッコ、3位スコットランド、4位ハイチ)も下馬評どおりに終わったため、32強(決勝トーナメント1回戦)の対戦相手も、予想どおりブラジルになった。

     グループFを1位通過すればモロッコ、3位通過すればフランスの可能性大という戦前の予想にも狂いはなかったことになる。日本を取り巻く予想に外れなし。48チームで争われる本大会は、32チームで争われたこれまでに比べ、それぞれに実力差があるので、グループリーグで番狂わせが起きにくい。32強で強敵と対戦することは最初からわかっていた。その相手がブラジルになったからといって、特に驚きはない。
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