杉山茂樹のBLOGマガジン

Profile
[プロフィール]
  • 静岡県出身。東京都在住。AB型
  • スポーツライター
  • 得意分野はサッカーでヨーロッパが厚め
  • W杯は82年のスペイン大会以降、12大会連続現地取材
  • 五輪も夏冬併せ9度取材
  • テーマは「サッカーらしさ」「サッカーっぽさ」の追求
  • 愛称はスギッチ。サッカー番長。スタジアム評論家
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    サッカー日本代表とJリーグで進むガラパゴス化 監督の新規参入が少ない理由とその弊害

    第104回
    
杉山茂樹の「看過できない」

     百年構想リーグの終了時から、今季のJ1リーグで監督が交代したのは浦和レッズ、横浜F・マリノス、京都サンガF.C.、ガンバ大阪、セレッソ大阪の5チーム。2025年シーズン終了時から数えれば12チームとなる。数字上では多くも少なくもないといった感じだが、実際に感じる変化のほどは、数字以上に少ない。代わり映えのしない顔が並ぶ。

     何と言っても新規参入者が少ない。外国人監督は計8人を数えるが、Jリーグに初めてやってきた新顔は、スティーブ・コリカ(横浜FM)とパブロ・マチン(C大阪)の両監督のみ。ワールドカップ明けのシーズンである。日本の敗退劇を目の当たりにしたファンが、「このままではマズい」と変化を求めているのだとすれば、その期待に応えることができていない印象だ。森保一監督の続投同様、新しい風を求めるファンには物足りなく映る。

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    Jリーグ開幕戦は白熱の逆転劇 だが観客、視聴者にとって「価値あるイベント」になっていたか

     国立競技場に6万3960人の観衆を集めて行なわれた2026−27シーズンJ1リーグの開幕戦、横浜F・マリノス対鹿島アントラーズは、単純に面白い試合だった。1−3とリードされた鹿島が追い上げて4−3とひっくり返す逆転劇。いい感じの撃ち合いに酔いしれることになった。

     Jリーグの試合としては24年ぶりに民放地上波のゴールデンタイムに生中継された一戦でもあった。視聴率はこの原稿を書いている段階では明らかになっていないが、試合を見始めた人の"注視率"は高かったのではないか。チャンネルを途中で変えた人がいたとすれば、後半13分、横浜FMが3−1としたあとだろう。そこからしばらく両軍のパフォーマンスは低下。横浜FMの選手を中心に足を痙攣させる選手が続出したことで、試合はしばしば止まった。
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    サッカー日本代表と無縁のJリーグ 24年ぶりゴールデン生中継の開幕戦でヘタな試合は見せられない

    連載第103回

    杉山茂樹の「看過できない」

     ワールドカップ明けに新シーズンを迎えることになったJリーグ。日本代表のワールドカップ組でのうち、Jリーグでプレーする可能性があるのは、結局15分(+アディショナルタイム)しかピッチに立たなかった長友佑都と出場機会のなかったふたりのGK(早川友基、大迫敬介)に限られる。高視聴率を記録したワールドカップとの継続性や関連性は、ないに等しい。

     外国人選手を含め、代表級の選手がほとんど存在しないと言ってもいいリーグだ。ワールドカップの組み替え戦とも言うべきチャンピオンズリーグを頂点に、文字どおりワールドカップを追い風にしながら新シーズンの開幕を迎える欧州とは、決定的な違いがある。同じ競技とは思えないと言っては言いすぎだが、低レベルであることに変わりはない。そんなJリーグは、どうしたら活気づくのか。
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    【有料記事】サッカー日本代表には外国人監督の方が適しているこれだけの理由。混沌こそが活力の源だ

     テレビで1000回見るより現場で1回。そう言いたくなるぐらい、それぞれの印象度は違う。お茶の間観戦した試合より、スタジアムで実際に見た試合の方が断然、記憶に鮮明だ。閃いたり、ピンときたり、五感を通して、第六感をいい感じで刺激してくれる。

     Jリーグ観戦でもそのような体験はできるが、感覚はレベルが高い方がより研ぎ澄まされる。今回のW杯観戦を通して改めて感じたことだ。しかし一介の記者以上に本来、この種の体験をすべきは監督、指導者であり、その予備軍たちである。

     高いレベルの試合を生でキチンと観戦する。だが、日本の監督、指導者およびその予備軍はそのための最適な環境から遠い場所にいる。欧州の監督、指導者およびその予備軍と比較すると大きなハンディを抱えていることになる。

     筆者が森保監督なら少なくとも年の半分以上は欧州に滞在しようとするだろう。その意欲に欠けると言わざるを得ない人が日本代表監督を8年も務めた日本。先の会見では同氏が、来年1月まで7ヶ月、続投することが発表された。

     次期日本代表は外国人監督で、と言いたくなる所以だ。森保監督の後任に決まっている大岩剛監督の是非を論じる前に、だ。

     外国人監督で、と言いたくなる理由はもう一つある。その方がサッカー界は活気づく。盛り上がると考えるからだ。

     外国人と日本人の気質的な違いを簡潔に言えば、自己主張するかしないかだ。外国人はハッキリ言おうとする。わかりやすい例はハリルホジッチになるが、そこに大なり小なり混乱は生まれる。それをネガティブに捉えるか。ポジティブに捉えるか。
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    サッカー日本代表指揮官の7カ月続投 一般論では「あり」でも森保監督に「ノー」のこれだけの理由

    連載第102回
    
杉山茂樹の「看過できない」

     一般論としては、代表監督の任期が来年1月に開催されるアジアカップまで7カ月間延長されることについて、筆者は特に異存はない。それより、そうした変則的なスケジュールしか組めないアジアのサッカー界についてひと言、言いたくなる。ワールドカップの出場枠が8.5に拡大されても、本大会では16強にはひとつも残れない現実を直視すべきである。世界のお荷物になっている低レベルな現実を恥じる必要があるだろう。

     このアジアと日本はどう向き合うべきか。32強に残った2チームの一方として、アジアカップ優勝を大真面目に目指すことが日本のサッカー界にとって本当にいいことなのか、考え直すタイミングでもある。敗れても決定的な痛手はない。森保一監督で臨んだ過去2大会はそれぞれ準優勝、ベスト8だった。優勝を逃しているが、特に大きな問題ではない。
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    【有料記事】日本とスペインの好対照。「よい守備からよい攻撃へ」と「よい攻撃からよい守備へ」。サッカーらしいのは?

     来年1月のアジアカップまで7ヶ月間、続投することが決まった森保監督。先日の会見では、大岩剛氏がその後任として五輪監督と兼務することが発表された。しかし、筆者には7か月先の話しをする気はいま湧いてこない。大岩監督ではなく森保監督だ。2026年W杯が終了したいま、一言いわなければならない対象は。

     優勝を目指しW杯に臨み32強に終わった森保監督が7ヶ月間限定ではあるが、そのまま続投する。

     今回のW杯はクジ運が悪かった。成績に関しては誰が監督でも、32強以上は難しかった。采配が冴えても、決勝トーナメントでブラジル、フランス、モロッコあたりに勝てるだけの選手が日本には揃っていない。にもかかわらず森保監督は「優勝」を言い続けた。この気質はどこから来るのか。大言壮語である。だが森保監督の印象は平均的な日本人だ。どちらかと言えば地味。派手好きには見えない。見た目との間はギャップを感じる。

     その二文字を口にする頻度はW杯が近づくほど、増えていったが、言い始めたのは昨年12月に行われた抽選会以前になるので、抽選結果を見て、現実的な数字を口に出しにくくなったから、というわけではない。16強、8強と中途半端な数字を言ってしまえば、盛り上がるものも盛り上がらない。どうせなら優勝と言ってしまえ、と、やけっぱちで言ったわけではなさそうである。

     本人は、我々が考えている以上に自信を持っていたと考えるのが自然だ。自らを過大評価していた。あるいは相手を過小評価していた。少なくとも筆者より、成績に関して楽観的だった。だとすれば、32強に終わった実際の成績に関して、もうすこしショックを受けるべきなのだ。

     少なくとも、目標=優勝と現実=32強との間に存在する大きなギャップを埋める説明が森保監督には求められている。なぜ見誤ってしまったのか。なぜ目標は達成できなかったのか。なぜ32強で終わってしまったのか。筆者に言わせれば、森保監督が世界の広さを認識していなかったからだとなるが、協会はそれを分析することなしに、次なる4年間に向かおうとする。
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    サッカー日本代表はどこへいく 識者は森保一監督続投とその後の大岩剛監督就任発表をどう見たか

    議論なき代表監督発表 日本サッカーの進歩を遅らせている理由が見えた

    杉山茂樹●文 text by Shigeki Sugiyama

     誰を代表監督に起用するか。これは各国のサッカー協会にとって最も重要な決断事項である。その就任会見はサッカーファンのみならず、多くの国民の関心を集める一大セレモニーである。

     日本も例外ではないはずだ。何といっても代表監督がワールドカップ優勝を目標に掲げてしまう国である。会見場はこれ以上ない熱気に包まれるのが普通である。ところが7月24日、森保一氏の代表監督続投の会見の舞台となった都内のホテルの大ホールはスカスカだった。埋まったのは半分程度。新しい4年間への期待感をそこに見て取ることはできなかった。

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    【ワールドカップ】サッカー日本代表が舞台を去って始まった「本番」 決勝戦は別次元の戦いだった

    連載第101回

    
杉山茂樹の「看過できない」

     筆者にとって1982年大会から数えて通算12回目のワールドカップ取材だった。その今大会はいい大会だったのか、悪い大会だったのか。過去と比較しやすい立場にいるので偉そうに言わせてもらえば、いい大会だったということになる。旅行者という立場を含めれば、さらに楽しかった。

     物価は高い。日本円は驚異的に安い。取材にかかる経費に関しては大きな問題を抱えていたとはいえ、それを押してもあまりある面白いワールドカップ観戦取材だった。大会が深まるにつれ、もたげてきたのが"日本に帰国したくない病"で、このままの状態がより長く続くことを祈った。
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    【ワールドカップ】スペインに優勝をもたらした「誰が出ても同じサッカー」 アルゼンチンの敗因は?

     スペイン対アルゼンチン。延長前半を終えて0−0といえば、試合内容が拮抗する接戦を連想する。だが、アルゼンチンが初めて放ったシュートは延長戦に突入してからで、FIFAの記録によれば、120分間のボール支配率はスペイン60%、アルゼンチン32%で、残る8%はどちらでもない「中立」だった。過去の決勝戦を振り返っても、ここまで両者の内容に差のある試合も珍しい。少なくとも筆者のワールドカップ決勝観戦歴のなかでは断トツの1番だった。

     だが、このままPK戦に突入し、アルゼンチンが勝利する可能性は大いにあった。よくある話ではないが、それもサッカーだ。そうなったらなったで、受け入れるしかないが、試合内容と結果は可能な限り一致してほしい。中立の立場で観戦する日本人ライターの筆者は、スペインにゴールが決まることを期待しながら残り15分に目を凝らした。
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    【有料記事】日本のメディア、サッカー関係者にトゥヘル采配を批判する資格があるのか。森保采配を棚に上げ

     アトランタで行われた準決勝、イングランド対アルゼンチン。まずは勝者を讃えることが人間のあるべき姿というか、できた人間のすることだろう。しかしこの場合、どう頑張っても筆者はイングランドの敗戦を嘆きたくなる。

     なぜ終盤、5バックにしてしまったのか。結果論ではない。トーマス・トゥヘル監督のその采配を見た瞬間、危ないと思わずにはいられなかった。

     トゥヘルがイングランド代表監督の座に就いたのは2025年1月。その半年前まではバイエルンの監督を1シーズンと少し務めていた。

     イングランド代表で採用した布陣は、CFより両ウイングが高い位置を張る0トップ型で、今大会でもここまでその進歩的かつ攻撃的サッカーは異彩を放っていた。この準決勝でも、先制点はこの両ウイングが生み出していた。右モーガン・ロジャースの折り返しを、左アンソニー・ゴードンが流し込んだもの。今回のイングランドを象徴するような一撃だった。

     しかしそれまでのトゥヘル監督は、攻撃的サッカーの部類に入る監督とは言えなかった。4バックと3バックを使い分ける、ある時までの森保監督に類似するタイプだった。

     今回は、サッカーの志向を変えたかのような采配で、イングランドを準決勝まで導いてきた。

     アルゼンチン戦。1点リードを守り切ろうと5バックに変更したその采配を見た瞬間、筆者は、トゥヘルがバイエルンの監督として臨んだ2023-24のチャンピオンズリーグ(CL)準決勝、対レアル・マドリード戦を想起した。初戦のホーム戦を2-2で折り返したバイエルンは、第2戦、後半23分にアルフォンソ・デービス(カナダ代表)の先制弾で、合計スコアを3-2とした。

     するとトゥヘル監督は後半31分、右ウイング、レロイ・ザネ(ドイツ代表)を下げ、CBキム・ミンジェ(韓国代表)を投入。4バックを5バックに変え、守り倒そうとした。
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    ワールドカップ】サッカー日本代表は優勝どころかベスト8も困難に 大会拡大の当然の帰結

    連載第100回

    
杉山茂樹の「看過できない」

     フランス対スペイン、イングランド対アルゼンチンという準決勝の2試合は、何を隠そう、抽選会後にこの連載コラムで筆者が予想していた対戦カードだった。フランス1位、スペイン2位、イングランド4位、アルゼンチン3位――は、大会開幕直前のFIFAランクで、それに従う当たり前すぎる結果だ。自慢するほどの話でもないだろうと言われそうだが、この予想は同時に、大会全体の展望をも意味していた。本大会出場国が32から48に増えればハプニングが多発するとの見方を、筆者は否定する立場だった。32チームでの争いよりチーム間の格差が広がるので、逆に番狂わせは起きにくいと読んだわけだ。
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